L O A D I N G

社員の自主性を大切に、
お子さまの健やかな成長を後押しするライフスタイルショップをつくりたい

代表メッセージ

宮内 秀之 / 株式会社仔熊 代表取締役社長

百貨店やショッピングモールのおもちゃ売り場を運営する、株式会社仔熊(以下、こぐま)。今回は、2019年に代表取締役社長に就任した宮内秀之さんに会社への想い、これからの仔熊についてインタビュー形式でお話しいただきました。

01

こぐまは百貨店のおもちゃ売り場を多く運営されていますが、どのような経緯でスタートされたのですか?

おもちゃを百貨店が自前で仕入れて販売するというのは、なかなか非効率なんです。販売量は多くないのに商品数は膨大にあり、直接仕入れようと思うと幅広い取引先と関係を保たなければなりません。そんなとき、こぐまのグループ会社である石川玩具(株)が百貨店のおもちゃ売り場におもちゃを卸していた関係で「そのまま小売りもやってくれないか」という要請を百貨店から受け、店舗運営に特化した「株式会社仔熊」を発足させたという経緯があります。

02

商品の発注は、どなたがされていますか?

まず、バイヤーが直感や長年磨いた目利きの力で商品を仕入れ、売り場のリーダー(店長)が発注します。本部から指示する部分もありますが、こぐまの売り場は全国に点在しているし、百貨店ごとにカラーも違うので店舗ごとの自主性にまかせるようにしています。

お店を見比べるとわかりますが、リーダーの好みも出ますよ。他の店舗よりもかわいい人形が妙に充実していたり(笑)。でも、できるだけリーダーや、リーダーのもとで働くスタッフの個性は活かして店づくりをしてほしい。好きだからこそ熱が入る。それでいいと思っています。

03

社員のみなさんにこんな風になってほしい
という希望はありますか?

お客様の立場に立って、自分の頭で考えた売り場づくりに取り組んでほしいという思いがあります。同じ商品でも、年齢や用途に合わせたコーナーをつくってみたり、並べ方によってお客様の印象は変わります。私自身も書店に行くと、書店員さんのPOPを読んで選ぶんですけど、そんな風に自分が想像できなかった選び方ができる店にしようねと伝えています。

本部からも、売り場づくりに活かしてほしいキーワードを提示していて、リーダーはそのキーワードを自分なりにかみ砕いて仕入れをします。画一的な仕入れや販売方法が求められるチェーン店としてはめずらしいことかもしれません。でもそれが、お客様の想像を超えた提案ができて、わざわざ訪ねたくなる店舗になる秘訣だと思います。

04

ズバリ、こぐまのすごさはどこにありますか?

どんな商品でも扱えるところですね。おもちゃは卸会社を通さず、小売店と直接やりとりする商品がたくさんあるので、卸以上にたくさんの選択肢を持っています。インポート物も揃えられます。大きな百貨店の売り場を任せていただいているからこその信頼感やこれまでの実績もあって、今でも毎日のように取引先が増えています。

05

今は、おもちゃだけでなく
アパレルや子ども雑貨もたくさん扱われていますね。

きっかけは、2004年頃に出た「オシャレ魔女❤ラブandベリー」というアーケードゲームだった気がします。カードを使い、キャラクターを着せ替えて遊ぶゲームなのですが、ゲーム会社と「人気のコーディネートを実際に洋服にして売ろう!」という話が盛り上がったことでファッションアイテムも取り扱うようになったんです。

そんな経験から、おもちゃ以外の商品を扱うノウハウを重ねていると、百貨店から「子ども用品の売り場も任せたい」という声が聞こえてきました。こぐまとしても、おもちゃだけでは少子化の時代を乗り切っていけないことは見えていましたし「子ども向けの総合ショップ」になりたかったので、10年ほど前から、傘や長靴といった子ども用品を置くようになりました。

現場には負担をかけた面もありますが、今ではベビーカーやランドセルなども扱えるようになり、本当に幅が広がってきました。

06

少子化という逆風を乗り切るために、
この先考えている展開はありますか?

モノ消費からコト消費へという時代の流れに遅れをとらないように、店舗でイベントを開いたり、プレイグラウンド(遊び場)、や親御さんもくつろげるカフェを設けたりできたらと考えています。ショッピングモールでも、有料の遊び場や親子カフェ、キャラクターのカフェがにぎわっていますよね。どれだけ商品が豊富にあっても、人が集まる仕掛けをしないと何もアクションを起こしてもらえない証拠だと感じます。

また、ベビー用品に力を入れ始めたのも、若い子育て世代と長年お付き合いしたいという思いからです。現状、こぐまのお客様はお孫さんのいる年配層が多いのですが、若い子育て世代のニーズを長いお付き合いの中で見つけていきたいです。

07

現時点で、若い子育て世代の
意外なニーズを感じたことはありますか?

共働きが増えたこともあって「散らかった家」にかなり負担を感じている気がします。基本的に、お母さんっておもちゃ嫌いなんですよ(笑)。せっかく買ってあげてもお子さんはすぐ飽きるし、散らかして片付けないから部屋が大変なことになるし。その点お父さんは、あんまり何も考えず買ってあげちゃうことが多いですが(笑)。

だからこそ、例えば木や布でできていて、リビングに散らかしてもインテリアっぽく見えるおもちゃがほしいといったニーズがあります。色も、ビビットなものよりアースカラーの方が目にうるさくないからイライラしづらい。そんな細かなニーズを拾い上げ、ドンピシャの提案ができるようにしたいです。

08

これからも変えたくない、
こぐまの社風について教えてください。

社員の自主性を重んじるという文化は変えたくないです。特に、現場と本部は対立しやすく、本部が命令しすべてを押し付けてしまうと現場の社員は意欲を失います。社員がやる気を失う状況が会社にとっては一番怖いこと。そうならないように気をつけています。

あとは私がいうのもあれですけど、会社が社員・スタッフにやさしいところ(笑)。社員の離職率はとても低いです。

09

これからのこぐまが進む方向性について教えてください。

おもちゃを核にした「子どものライフスタイルショップ」を運営して、この先もお子さまを笑顔にできるように頑張っていきたいですね。

お子さまを笑顔にするという観点では、子ども向けの椅子や家具、食器など生活シーンにひもづくグッズを取り扱ってみたいという思いがあります。ベビーやマタニティ向けのスキンケアなどにも挑戦していて、2019年9月にグランドオープンした大丸心斎橋店本館のこぐまには「スキンケアバー」をオープンさせます。高級な商品なので最初はインバウンド客の購買を見込んでいますが、ギフトの需要はすでにあると思いますし、オーガニックやボタニカルといったキーワードがさらに浸透し、安心素材でベビーのスキンケアをしたいというニーズは間もなく主流になると思います。

おもちゃを扱う会社としては複雑ですが、プラスチックのおもちゃが受け入れられなくなる時代の到来も想定しています。こぐまでは、数年前から天然素材のクレヨンなど、自然由来のおもちゃを取り扱ってきました。まだまだ商品点数が少ないのですが、時代を先取りして健やかな心身を育む商品を扱うことで、次代のライフスタイルを提案できるショップを運営したいです。

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